二次元裏@ふたば 彼は猫と共に布団に潜り込みそのまま目を閉じた。

夢を見た。
雨の中傘を差して立っている自分、その目の前には女性が倒れている。
自分は女性の手を引いて何か話し掛けている。女性は口をもそもそと動かしながら答えているようだ。
何を話しているかはよく聞こえない。目の前がブラックアウトした後別の情景が映る。
今度は病室のようだ、さっきの女性はベットに入っている。生まれたばかりと思しき赤ん坊を抱えて
何やら自分が話しているのを聞いているようだ。やはり何を話しているかは聞こえなかった。

『にゃ』
めどいの足が頭に触れ、そこで目が覚める。めどいは餌入れを口にくわえて自分の顔を覗き込んでいた。
「ん…。あぁ、ゴハンか。んしょ…っと。」
もぞもぞと布団から起きビデオのタイマーを確認する。
「十時か…起きるか。」
めどいに餌をやって自分も朝食のパンをかじる。朝食の後は部屋の掃除だ。溜まった雑誌を処分して
掃除機をかけて…。小一時間程で終らせて、めどいと一緒に虹裏を閲覧する。
十三時ごろになったらお昼を食べてしばらく虹裏、夕方になったら夕飯の買い物に出かける。
近所のスーパーまでの道のりの途中、大事な事を忘れているような感覚に襲われた。
何かは思い出せない、しかし何か大事なことを忘れているもどかしい感覚。
スーパーの買い物から帰ってきて夕飯を作っている時も、めどいと一緒に夕飯を食べている時も、
虹裏を見ている時も、その感覚は一向に晴れなかった。胸がモヤモヤする。
「何か…忘れているような気がするんだよなー。」
『にゃん?』
めどいの顔をいじりながら彼は呟く。
「そろそろ一時か。スクリプトスクリプト…っと。」
彼は虹裏のスクリプトスレを数点見る。昨日見たあのスクリプトの続きもあるようだ。
内容はあの病院からの続きで「」は精神が崩壊しうわ言の様に虹裏町の思い出を口にしてるというものだった。
そして「虹裏町のことは忘れろ、全ては夢だったのだ」と何者かの声が響き虹裏町の事を忘れた「」が
病院から退院し日常の生活に戻るという結末を迎えた。
「“ある意味ハッピーENDだなぁ、まぁ死んだりしない分マシだけど。でもあのままENDでも良かったかな?”」
と彼はレスを返す。返された他のレスを見て
「“待て!もしかしたら今の俺たちも虹裏町という夢を見ていウボァ”」
というレスを見かけ苦笑する。
「そういや俺ホントに虹裏町の夢を見たんだなぁ…。」
変に感慨深くなったその時、突然強い既視感が彼を襲った。
「何だろう…この感覚、何か…もうちょっとで思い出せそうな…。」
彼は自分の記憶を手繰り既視感の原因を必死に探す。雨の中倒れている女性…生まれたばかりの赤ん坊を抱えた女性…。
しかしあと一歩のところで何かが掴めない。そうこうしているその時である。
『その記憶の事は忘れろ、全ては一時の夢だ』
彼が声のした方を向くと、猫が喋っていた。
『全てを忘れろ、それがお前の為だ』
「めどいさん…?」
『忘れろ!!』
彼は気を失った。

またあの夢だ。
降りしきる雨、倒れている女性、目の前に立っている自分。病室、赤子を抱えた女性、話し掛けている自分。
やはり話し声は聞こえない。何を話しているのだろう、聞かせてくれ。そう思うがまたあの声が響く
『何故お前は余計な記憶を思い出す 何も思い出さなければ 何も気にしなければ ありふれた日常が流れるだけなのに
 何故お前は記憶を手繰ろうとする 苦しい思いをしながら 知らなければささやかな幸せが続くというのに』
その声に向かって彼は叫ぶ
「知らない事が幸せな事なんて世間にはごまんとある。だけど、これは、これだけは、
絶対に思い出さないと俺は絶対に後悔する!いや、思い出さなきゃいけないんだ!!」
その瞬間、目の前が光に包まれた。
そうだ、あれは雨の降っている時だ。俺は雨の降る中尽きかけた食料の買出しに出かけて帰ってきたときだ。
家の目の前にメイド服を着た女性が倒れていたんだ。気絶しているわけでもなく俺のことをじっと見ていた。
「あのぉ…何か用ですか?ていうか大丈夫ですか?」
「説明するのめどいです。」
「う~ん、弱ったな…名前は?」「めどいです。」
「めどいさん?変わった名前だなぁ。風邪引くからとりあえず家の中に入れていい?」
「めどいので貴方が運んでください。」
そして俺は彼女の手を引いて起こし、背負ったんだ。
「貴方の名前…なんですか?」
「俺?名前あったんだけど忘れちゃってさ。今は「」って名乗ってる。」
「分かりました。「」さんですね。」
そして俺とめどいさんの共同生活が始まったんだ。
病院…あぁ、としあきが生まれた時だ。まだめどいさんが退院してない時になるな。
「かわいいなぁとしあきは。」
「かわいいですね。」
生まれたばかりのとしあきをいぢくりいまわす俺達夫婦。
「…ふふ。」
「「」さん、一人で笑ってると気味が悪いです。」
「あはは、何か幸せだなぁって思ったら急にね。」
「?」
「嫁はいるし、可愛い息子がいるし。それだけでなんかこう心が躍るような感じになってさ。」
「そうですか。私もそんな感じです。私の言いなりになる夫に言う事を聞いてくれそうな息子がいます。」
「え、めどいさんそんな風に考えて…!」
「冗談です。」
「(あ、あの目は半分本気だ…)まぁでもさ、子供も出来たし、ちょっとは真面目になろうかな。
バイトして働いて、給料でおもちゃとか買ってやってさ。としあきと一緒に遊んだりさ。」
「フフ…「」さん、楽しそうですね。」
「あぁ、楽しいよ。めどいさんも、としあきも、陛下もOS達も、みんな…みんな大好きだ。」
そうだ、全部思い出した。なんでこんな事を忘れていたんだろう。
「俺の…俺の名前は「」。日々を無為に過ごす、虹裏町の住人だ!」
今日はサイドストーリーのみで本編無しです このスクリプトの「」はかっこいいよな お疲れ 面白いんだけどレスしづらい やっぱ第一部の電撃食らった後遺症カナ? あぁ精神病棟の事を気にされていると思ったら
こう繋げてきましたか。綺麗にピースを埋められましたね。
末期「」のにゃーも取り入れるとは…素晴らしい。
いいもの見れました。明日もがんばろう。

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画像ファイル名:1109262376220.jpg-(45042 B)サムネ表示.
45042 B05/02/25(金)01:26:16 No.22622241 02:33頃消えます
虹裏町スクリプト・虹裏町最期の日
22回サブストーリー後編「本当の居場所は?(2)」
「!?」
彼が顔を上げる。目の前にはPCの画面。周囲を見回すと敷かれた布団にTV、横にゲーム機と
積まれた雑誌と漫画、まごう事なき自分の部屋だ。時計を見ると午前三時を回っていた。
「…夢か。精神病院オチだなんて嫌な夢だな。」
PCの画面には“二次元裏@ふたば”の文字が躍る。その中のスレには夢で見た様な内容のSSが書かれていた。
「これ見ながらつい居眠りしちゃったみたいだなぁ、どうせ夢を見るなら水銀灯でも出りゃいいのに。」
『にゃー』
「あ、めどいさん。」
彼の元に一匹の猫が寄ってくる。道で拾った捨て猫に二次元@ふたばでのキャラクターの名前を
付けたのだが、いつも困ったように見える顔が結構かわいかったりするのだ。
「ふぁ…あぁ。明日は休みだからもうちょっと起きてようかと思ったけど、寝るか。
めどいさんおいでー。一緒に寝よー。」
『にゃん』
05/02/25(金)01:26:59 No.22622273
彼は猫と共に布団に潜り込みそのまま目を閉じた。

夢を見た。
雨の中傘を差して立っている自分、その目の前には女性が倒れている。
自分は女性の手を引いて何か話し掛けている。女性は口をもそもそと動かしながら答えているようだ。
何を話しているかはよく聞こえない。目の前がブラックアウトした後別の情景が映る。
今度は病室のようだ、さっきの女性はベットに入っている。生まれたばかりと思しき赤ん坊を抱えて
何やら自分が話しているのを聞いているようだ。やはり何を話しているかは聞こえなかった。

『にゃ』
めどいの足が頭に触れ、そこで目が覚める。めどいは餌入れを口にくわえて自分の顔を覗き込んでいた。
「ん…。あぁ、ゴハンか。んしょ…っと。」
もぞもぞと布団から起きビデオのタイマーを確認する。
「十時か…起きるか。」
05/02/25(金)01:27:42 No.22622291
めどいに餌をやって自分も朝食のパンをかじる。朝食の後は部屋の掃除だ。溜まった雑誌を処分して
掃除機をかけて…。小一時間程で終らせて、めどいと一緒に虹裏を閲覧する。
十三時ごろになったらお昼を食べてしばらく虹裏、夕方になったら夕飯の買い物に出かける。
近所のスーパーまでの道のりの途中、大事な事を忘れているような感覚に襲われた。
何かは思い出せない、しかし何か大事なことを忘れているもどかしい感覚。
スーパーの買い物から帰ってきて夕飯を作っている時も、めどいと一緒に夕飯を食べている時も、
虹裏を見ている時も、その感覚は一向に晴れなかった。胸がモヤモヤする。
「何か…忘れているような気がするんだよなー。」
『にゃん?』
めどいの顔をいじりながら彼は呟く。
「そろそろ一時か。スクリプトスクリプト…っと。」
彼は虹裏のスクリプトスレを数点見る。昨日見たあのスクリプトの続きもあるようだ。
内容はあの病院からの続きで「」は精神が崩壊しうわ言の様に虹裏町の思い出を口にしてるというものだった。
05/02/25(金)01:28:15 No.22622306
そして「虹裏町のことは忘れろ、全ては夢だったのだ」と何者かの声が響き虹裏町の事を忘れた「」が
病院から退院し日常の生活に戻るという結末を迎えた。
「“ある意味ハッピーENDだなぁ、まぁ死んだりしない分マシだけど。でもあのままENDでも良かったかな?”」
と彼はレスを返す。返された他のレスを見て
「“待て!もしかしたら今の俺たちも虹裏町という夢を見ていウボァ”」
というレスを見かけ苦笑する。
「そういや俺ホントに虹裏町の夢を見たんだなぁ…。」
変に感慨深くなったその時、突然強い既視感が彼を襲った。
「何だろう…この感覚、何か…もうちょっとで思い出せそうな…。」
彼は自分の記憶を手繰り既視感の原因を必死に探す。雨の中倒れている女性…生まれたばかりの赤ん坊を抱えた女性…。
しかしあと一歩のところで何かが掴めない。そうこうしているその時である。
『その記憶の事は忘れろ、全ては一時の夢だ』
彼が声のした方を向くと、猫が喋っていた。
『全てを忘れろ、それがお前の為だ』
「めどいさん…?」
05/02/25(金)01:28:32 No.22622314
『忘れろ!!』
彼は気を失った。

またあの夢だ。
降りしきる雨、倒れている女性、目の前に立っている自分。病室、赤子を抱えた女性、話し掛けている自分。
やはり話し声は聞こえない。何を話しているのだろう、聞かせてくれ。そう思うがまたあの声が響く
『何故お前は余計な記憶を思い出す 何も思い出さなければ 何も気にしなければ ありふれた日常が流れるだけなのに
 何故お前は記憶を手繰ろうとする 苦しい思いをしながら 知らなければささやかな幸せが続くというのに』
その声に向かって彼は叫ぶ
「知らない事が幸せな事なんて世間にはごまんとある。だけど、これは、これだけは、
絶対に思い出さないと俺は絶対に後悔する!いや、思い出さなきゃいけないんだ!!」
その瞬間、目の前が光に包まれた。
05/02/25(金)01:28:58 No.22622324
そうだ、あれは雨の降っている時だ。俺は雨の降る中尽きかけた食料の買出しに出かけて帰ってきたときだ。
家の目の前にメイド服を着た女性が倒れていたんだ。気絶しているわけでもなく俺のことをじっと見ていた。
「あのぉ…何か用ですか?ていうか大丈夫ですか?」
「説明するのめどいです。」
「う~ん、弱ったな…名前は?」「めどいです。」
「めどいさん?変わった名前だなぁ。風邪引くからとりあえず家の中に入れていい?」
「めどいので貴方が運んでください。」
そして俺は彼女の手を引いて起こし、背負ったんだ。
「貴方の名前…なんですか?」
「俺?名前あったんだけど忘れちゃってさ。今は「」って名乗ってる。」
「分かりました。「」さんですね。」
そして俺とめどいさんの共同生活が始まったんだ。
05/02/25(金)01:29:45 No.22622347
病院…あぁ、としあきが生まれた時だ。まだめどいさんが退院してない時になるな。
「かわいいなぁとしあきは。」
「かわいいですね。」
生まれたばかりのとしあきをいぢくりいまわす俺達夫婦。
「…ふふ。」
「「」さん、一人で笑ってると気味が悪いです。」
「あはは、何か幸せだなぁって思ったら急にね。」
「?」
「嫁はいるし、可愛い息子がいるし。それだけでなんかこう心が躍るような感じになってさ。」
05/02/25(金)01:30:10 No.22622359
「そうですか。私もそんな感じです。私の言いなりになる夫に言う事を聞いてくれそうな息子がいます。」
「え、めどいさんそんな風に考えて…!」
「冗談です。」
「(あ、あの目は半分本気だ…)まぁでもさ、子供も出来たし、ちょっとは真面目になろうかな。
バイトして働いて、給料でおもちゃとか買ってやってさ。としあきと一緒に遊んだりさ。」
「フフ…「」さん、楽しそうですね。」
「あぁ、楽しいよ。めどいさんも、としあきも、陛下もOS達も、みんな…みんな大好きだ。」
そうだ、全部思い出した。なんでこんな事を忘れていたんだろう。
「俺の…俺の名前は「」。日々を無為に過ごす、虹裏町の住人だ!」
05/02/25(金)01:30:37 No.22622371
今日はサイドストーリーのみで本編無しです
05/02/25(金)01:31:42 No.22622404
このスクリプトの「」はかっこいいよな
05/02/25(金)01:32:17 No.22622419
お疲れ
05/02/25(金)01:33:47 No.22622469
面白いんだけどレスしづらい
05/02/25(金)01:36:12 No.22622538
やっぱ第一部の電撃食らった後遺症カナ?
05/02/25(金)01:37:47 No.22622583
あぁ精神病棟の事を気にされていると思ったら
こう繋げてきましたか。綺麗にピースを埋められましたね。
末期「」のにゃーも取り入れるとは…素晴らしい。
いいもの見れました。明日もがんばろう。


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